犬のお悩み体験談

【犬の耳掃除】の疑問にトリマーがお答えします

犬の耳を掃除している

犬も人間と同じように、耳掃除をしないと耳垢が蓄積します。不衛生なのはもちろんですが放っておくと病気にもつながります。耳の中の清潔と乾燥を心がけ、耳の健康状態にも配慮が必要です。とくに垂れ耳の犬は、耳の中の通気性が悪くなりがちなので注意しましょう。

犬の耳掃除ってそもそも必要なの?

そもそも犬に耳掃除って必要なのか疑問に思ったことはありませんか?野生で生活する犬は、耳掃除なんてしないし耳掃除って必要ないのかな?と思いますよね。ではなぜ、動物病院やペットサロンは耳掃除をするのでしょうか?その疑問を詳しく解説していきます。

まず耳が健康な状態な犬であれば、シャンプーの後に外耳の水気を拭き取り、耳内をつねに清潔に保ちかつ乾燥させるようにしておけば大丈夫です。しかし、耳の健康状態がよくない場合は、耳掃除をさらに意識して行う必要があります。

耳の健康状態が悪くなりやすい原因には以下のようなものがあります。
〇耳が垂れた犬種
〇長毛犬種
〇食物アレルギー
〇細菌、真菌、耳ダニ
〇耳の中の腫瘍
〇異物混入(虫など)

このように犬種や個体差で耳の健康状態が悪くなりやすい場合もありますが、耳ダニや細菌、異物混入はどの犬種でも当てはまる原因です。こうした状態で耳掃除を怠ってしまうと、耳疥癬(読み:みみかいせん)の感染や中耳炎などの病気を引き起こします。

細菌性の外耳炎などは、悪臭のする耳垢が出始めます。一度なってしまうと完治が難しく、根気のいる治療が必要となります。また外耳炎の耳を掻いたことにより、二次感染を引き起こしますので、耳掃除で耳をケアするのはとても大切です。

また、間違った耳のケアにより外傷で悪くなるといったケースもあるため、正しいケアを心がけるようにしましょう。

犬の耳掃除に必要な道具について

犬の耳掃除には「鉗子」「イヤーパウダー」「イヤーローション(イヤークリーナー)」「脱脂綿」の4つの道具が必要です。

〇鉗子(読み:かんし)
ハサミと似た形状をしています。種類は違いますが人間の手術などに使う医療器具で、皮膚を挟んで牽引(読み:けんいん)したりするものです。

犬の耳掃除では毛を抜いたり、脱脂綿を挟んで汚れを拭き取るのに使います。下記写真(2)で使用しているのが鉗子です。刃はついていませんが挟む力が強いため使用には注意が必要です。

〇イヤーパウダー
耳の中の毛を抜く時に使用します。皮脂や汚れで滑りやすくなった毛を掴みやすくする滑り止めのような役割をします。水分を吸収し、耳道内を乾燥させ清潔にします。

〇イヤーローション
固まった耳垢を柔らかくし取りやすくしたり、汚れがひどい場合に耳にローションを溜めて、耳の中を洗浄する際に使用します。

イヤーローションは油分の多い耳に適したもの、反対に乾燥した耳に適したものと種類も様々ですので、その子の耳の状態に合ったものを選んであげましょう。

〇脱脂綿
鉗子に綿を挟んで使用します。ローションをつけて汚れを拭き取ったり、シャンプー後の水分を拭き取る際に使います。

犬種の大きさによっても、耳の穴の大きさは違います。1人で耳掃除をする場合は難しいのですが、持ってくれる人がいるのであれば、ペンライトで耳の中を照らしてもらうとよいでしょう。

犬の耳掃除の方法やコツ

ここでは、基本的な耳掃除の方法をご紹介いたします。今回は、トイプードルの耳掃除を例に解説いたします。

※耳毛を抜く際にイヤーパウダーを使用しますが、画像では見えにくくなるためパウダーをかける前の状態で説明します(実際には毛を掴みやすくするためにイヤーパウダーを使用しています)

犬の耳を掃除している

(1)まず、耳毛の処理から行います。手前の毛は鉗子は使用せず指で抜きます。耳介周辺は、凹凸が多いので鉗子を使用すると挟みやすいですが、指で抜けるところは指で処理をします。

短毛犬種などの耳の毛が生えていない犬の場合、毛を抜く作業は省いて大丈夫です。

犬の耳を掃除している

(2)次に鉗子を使用して、耳の奥の毛を抜きます。鉗子は挟むととても痛い道具ですので、耳道内を挟まないように必ず耳の穴が見える位置に立ち、鉗子は耳道に平行に入れましょう。

画像のトイプードルは大人しい子でしたので、1人でもスムーズに耳掃除ができますが、嫌がる子の場合は、無理せず誰かに保定してもらい安全に作業できることを優先にしましょう。

耳毛を抜く理由は耳の中の通気性を保ち、感染症などを予防するためですが、痛がったり炎症を起こすこともあるので、無理をする必要はありません。抜くのが無理な場合には、ハサミで短く切れば大丈夫です。耳毛を切るための専用のハサミもあります。

また耳ダレでベトベトしていたり、耳が腫れている、傷があるなど、耳の健康状態が良くない場合は、無理に行うのはやめて病院で診察してから正しい処置をしましょう。

犬の耳を掃除している

(3)次に鉗子に脱脂綿を挟み、イヤーローションをつけます。脱脂綿をつける時は、鉗子の先が耳に当たらないように先端に厚みを持たせるようにして挟みます。

脱脂綿の大きさは、大きすぎると耳垢を押し込んでしまうので、犬の耳の穴に合わせて調節しましょう。

トリマーは鉗子を用いますが、扱いに慣れていない一般の方には抵抗があるかもしれません。その場合は無理をせずに綿棒を利用するとよいでしょう。

犬の耳を掃除している

(4)イヤーローションを染み込ませた脱脂綿で、優しく耳道を拭き取ります。

犬の耳介はL字となっていますので、鼓膜に触れることはありません。ですが耳道は傷つきやすいので、何度もこすったりなどしないようにします。
犬の耳の絵

何度も拭き取らないといけない程の汚れがある場合は、一度病院で診察を受けてから、ローションで耳の中を洗浄するなど、症状にあった適切な処置をしましょう。

犬の耳掃除の頻度について

耳の健康状態が良好な犬であれば、月1回位シャンプーをするときに一緒に耳掃除を行います。耳の状態で、洗浄した方がいいのか拭き取るだけで良いのか変わってきます。耳の状態を見て判断します。

過剰に気にしすぎてマメに掃除するのはよくありません。耳を傷つけたり、炎症が起きてしまう原因にもなります。

また、先にお伝えしたように耳疾患を患っている場合はこの限りではありません。専門医の指導のもと行いましょう。

犬が耳掃除を嫌がる

極端に耳掃除を嫌がる犬は保定が難しく、無理をすると耳を傷つけてしまいます。また嫌がる理由を知ることが必要です。耳の健康状態が悪いために、耳を触れられるのを嫌がっていることも考えられるからです。

今まで耳を触られることに抵抗のなかった犬が、急に嫌がるようになったり、攻撃的な態度を示したりといつもと違う様子であれば、耳が痛いために拒んでいる可能性もあります。

その場合外耳炎など、何らかの病気も考えられるので注意が必要です。

犬が耳を痒がる

犬が後肢で耳を引っ掻いたり、頭を振る行動をする場合、耳が痒いのかもしれません。そのような状態が頻繁に見られるようであれば、何らかの耳疾患にかかっている可能性もあります。

外耳道に蓄積した耳垢に細菌や酵母が繁殖し感染による炎症が起きたり、耳疥癬(ダニ)が寄生していたり、原因により症状は多様ですが、痒みや痛みを訴えるようであれば専門医に相談したほうが無難です。

また、このような症状が表れているときに耳掃除をすると、かえって耳道の汚れを奥へ押し込んでしまったり、外耳を傷つけてしまい症状を悪化させてしまう恐れもあります。自宅での耳掃除は避け、受診しましょう。

犬の耳掃除は動物病院やペットサロンでも行っています

「病院やサロンで耳掃除だけお願いするのはちょっと気がひけてしまう」という飼い主さんの声を聞くことがありますが、そんな心配をすることはありません。

単品メニューで耳掃除だけお願いすることが可能な病院やサロンは沢山あります。耳掃除だけだと500円~1,000円位ですが、犬の大きさ、耳の状態などによって価格がプラスされます。

むしろ最初は獣医師に耳掃除をお願いして、その子の耳に適したイヤーローションや耳掃除の仕方を教えて頂くことで、自分で行う自信にもつながります。遠慮することなく、単品メニューで耳掃除だけお願いできるか問い合わせてみましょう。

まとめ

    ・垂れ耳や長毛の犬種は、耳の中の通気性がよくないので注意する
    ・犬の耳掃除は、未然に耳の病気を防ぐのに大事
    ・耳の中の清潔と通気性を保つことが大切
    ・犬が耳を痒がる状態が続いている場合、念のため受診を
    ・耳掃除だけの単品メニューもOKな病院やサロンがほとんどである